企業会計基準適用指針公開草案第80号(企業会計基準適用指針第2号の改正案)「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)」等の公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2023年10月6日に、企業会計基準適用指針公開草案第80号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)」(以下、「本公開草案」という。)等を公表しました。

令和5年度税制改正において、完全子会社株式について一部の持分を残す株式分配のうち、当該一部の持分が当該完全子会社の株式の発行済株式総数の20%未満となる株式分配について、他の一定の要件を満たす場合には、完全子会社株式のすべてを分配する場合と同様に、組織再編時の譲渡損益や株主の配当に対する課税を対象外とする特例措置、いわゆるパーシャルスピンオフ税制が新たに設けられました。

これを受けて、2023年3月に、事業を分離・独立させる手段であるスピンオフの会計処理を検討することが企業会計基準諮問会議より提言され、ASBJは当該取引に係る会計処理の検討を重ね、今般、以下の本公開草案等を公表しました。

  • 企業会計基準適用指針公開草案第80号(企業会計基準適用指針第2号の改正案)「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)」
  • 企業会計基準適用指針公開草案第81号(企業会計基準適用指針第28号の改正案)「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」

またASBJの本公開草案等は、日本公認会計士協会(JICPA)の実務指針にも影響するため、同日、JICPAより、会計制度委員会報告第7号 「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下「資本連結実務指針」という。)の改正案が公表されました。

ASBJの本公開草案等では、個別財務諸表上、基準の開発範囲のケースについて配当財産の時価ではなく配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額するとしています。この点、個別財務諸表における取扱いを設けたのと同じ理由から配当財産の時価で配当したとはせず、個別財務諸表における配当の処理に加えて、連結財務諸表上、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額を連結株主資本等変動計算書において処理することが提案されています。

これに伴い、資本連結実務指針についても改正する必要が生じたため、ASBJからJICPAに対し、資本連結実務指針の改正依頼があり、改正を行うものです。
なお、ASBJの公開草案等及びJICPAの資本連結実務指針の改正案についてのコメントの提出期限は、2023年12月6日までとなっています。

詳細な内容は、以下のウェブサイトを参照ください。
ASBJウェブページ
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2023/2023-1006.html
JICPAウェブページ
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20231006ruy.html

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