企業会計基準公開草案第87号「後発事象に関する会計基準(案)」等の公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2025年7月3日、以下の企業会計基準及び企業会計基準適用指針の公開草案(以下合わせて「本公開草案」という。)を公表しました。

  • 企業会計基準公開草案第87号「後発事象に関する会計基準(案)」
  • 企業会計基準公開草案第88号「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正(そのX)(案)」
  • 企業会計基準適用指針公開草案第87号「後発事象に関する会計基準の適用指針(案)」

■本公開草案の公表の経緯

ASBJは、日本公認会計士協会(JICPA)が公表した企業会計に関する実務指針等をASBJに移管するプロジェクトの一環として、監査基準報告書560実務指針第1号「後発事象に関する監査上の取扱い」(以下「監基報560実1」という。)における定めを、会計に関する内容と監査に関する内容に切り分けて、会計に関する内容について会計基準で用いられる表現に見直した上でASBJに移管することとして、後発事象に関する会計基準の開発を進めてきました。

■本公開草案の概要

(1)基報560実1の移管にあたっての基本的な方針
本公開草案においては、後発事象の定義、会計処理及び開示等を取り扱う包括的な会計基準を設定することを優先的な課題とし、原則として監基報560実1で示されている会計に関する内容を踏襲して移管することを基本的な方針としています。
本公開草案では、監基報560実1に記載されていた後発事象の定義を引き継ぎつつ、後述の「後発事象の対象期間」に関して見直しを行うことを提案しています。

(2)後発事象の対象期間に関する基本的な取扱い
監基報560実1では、監査対象となる後発事象は、監査報告書日までに発生した後発事象であることが定められていたところ、本会計基準案では、後発事象とは、決算日後に発生した企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象のうち、財務諸表の公表の承認日までに発生した会計事象とすることを提案しています。

(3)会計監査人設置会社の計算書類等及び連結計算書類における後発事象の対象期間
本適用指針案は、会計監査人設置会社において作成される計算書類等又は連結計算書類における後発事象の対象期間については、企業が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算書類等又は連結計算書類を作成する監査契約上の責任を果たしたことを確認した日までとすることを提案しています。なお、当該確認日は、通常、経営者確認書の日付と同一になると考えられるとされています。

(4)修正後発事象及び開示後発事象
(修正後発事象に関する基本となる取扱い)
本会計基準案では、監基報560実1を踏襲し、重要な修正後発事象については、財務諸表を修正することを提案しています。
(会計監査人設置会社における確認日後に生じた修正後発事象の取扱い)
本適用指針案では、会計監査人設置会社においては、修正後発事象の定めにかかわらず、(連結)計算書類等に関する確認後、(連結)財務諸表の公表の承認日までに発生した会計事象については、修正後発事象として取り扱わず、開示後発事象に準じて取り扱うことを提案しています。

(5)開示
本会計基準案では、次の注記を行うことを提案しています。
① 財務諸表の公表の承認日及び財務諸表の公表を承認した機関又は個人の名称
② 重要な開示後発事象に関する次の事項
(ア)重要な開示後発事象の内容及び影響額等
(イ)(ア)の影響額の見積りができない場合、その旨及び理由

■適用時期等

本公開草案は、公表から概ね1年程度経過後最初に到来する4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、将来にわたって適用することを提案しています。

■意見募集期間

意見募集は、2025年9月12日まで、となっています。

詳細な内容は、以下のウェブサイトを参照ください。
https://www.asb-j.jp/jp/project/exposure_draft/y2025/2025-0708.html

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