平成26年3月期に強制適用となる改正退職給付会計基準について教えてください

2013年12月06日 更新

■ご質問

退職給付会計基準が改正され、段階的に適用されます。

まず、3月決算会社の場合には、平成25年4月1日以後開始する連結会計年度の年度末である平成26年3月31日に係る連結財務諸表において、次の二つが強制適用になります。
① 未認識項目(数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち費用処理されていない部分)の処理方法
② 開示の拡充、名称等の変更
具体的にはどのような内容になりますか。

 

■回 答

1. 未認識項目の処理方法

イ.改正前会計基準では、未認識項目は連結貸借対照表には計上されておりませんでしたが、改正後の会計基準では税効果を調整の上で、連結貸借対照表の純資産の部(その他の包括利益累計額)で即時認識することされ、併せて積立状況を示す額(退職給付債務―年金資産)をそのまま負債又は資産に計上することに変更されております。
適用初年度に限っては、その他の包括利益を通さず、直接、その他の包括利益累計額に計上されることになっています(改正退職給付会計基準第37項)。
未認識項目の即時認識は、連結財務諸表のみの取扱いで、個別財務諸表上は、従来どおり、遅延認識となります。

ロ.未認識項目の即時認識に関する会計処理を、具体的事例をもって示すと次のようになります。
適用初年度の取扱い(適用指針【設例3】)

(前提)(改正退職給付会計基準適用前)

退職給付債務 (10,000)
年金資産 8,000
積立状況を示す額 (2,000)
未認識数理計算上の差異 1,000
未認識過去勤務費用 300
会計基準変更時差異の未処理額 200
退職給付引当金 (500)

2. 平成26年3月の年度末における会計処理

① 個別財務諸表の処理
仕訳なし

② 連結修正仕訳

(仕訳1)
退職給付引当金 500 / 退職給付に係る負債 500
※ 退職給付引当金残高を退職給付に係る負債に振替える。

(仕訳2)
退職給付に係る調整累計額 1,500 / 退職給付に係る負債 1,500
-その他の包括利益累計額-
※ 未認識項目の残高を全額負債に振替える。
   退職給付に係る調整累計額1,500 = 未認識数理計算上の差異1,000 + 未認識過去勤務費用 300 + 会計基準変更時差異の未処理額 200

(仕訳3)
繰延税金資産 600 / 退職給付に係る調整累計額 600
           -その他の包括利益累計額-
※ 税効果を認識する。
  1,500×40%=600

3. 開示の拡充、名称等の変更

開示については、財務諸表の有用性を高めるため、国際的な会計基準で採用されている項目を中心に拡充が図られています(新基準77項)。

具体的には、退職給付債務及び年金資産については、従来、期末残高のみを開示しておりましたが、退職給付債務及び年金資産に係る期首残高と期末残高の調整表や年金資産の主な内訳、その他の包括利益及びその他の包括利益累計額で計上した数理計算上の差異及び過去勤務費用に係る内訳などの開示が新たに求められています。
なお、その他に、次のように名称等が変更されています。

改正前会計基準等 改正後会計基準等
退職給付引当金 退職給付に係る負債*
前払年金費用 退職給付に係る資産*
過去勤務債務 過去勤務費用
期待運用収益率 長期期待運用収益率

*個別財務諸表においては、当面の間、この取扱いを適用しないで、改正前の基準の名称を使用することになっています。

以  上