投資損失引当金の計上と記載事例

2013年05月07日 更新

■ご質問

投資損失引当金の計上と記載事例について、教えてください

長引く景気低迷などの事業環境の悪化により、業績が悪化している非上場の子会社がある。その子会社株式の実質価値は、著しく下落しているが、最近の為替相場が円安傾向になり、日経平均株価も回復し、景気も上向いているので業績が回復すると見込んでいますが、万全ではありません。このような状況で子会社株式の評価に関して対応すべき処理はありますか。

■ 回 答

 イ.ご質問の内容のように、子会社株式等の実質価額が著しく低下したものの、会社はその回復可能性が見込めると判断して、減損処理を行わなかった場合には、投資損失引当金の計上が認められています。投資損失引当金を計上している場合には、当面、監査上妥当なものとして取り扱われています(監査委員会報告第71号「子会社株式等に対する投資損失引当金に係る監査上の取扱い」)。

投資損失引当金の計上は、会計処理の健全性の観点からリスクに備えるものですが、回復可能性の判断は将来の予測に基づいて行われるものであり、その回復可能性の判断を万全に行うことは実務上困難であるとされていることもその計上理由に挙げられています。

設問の場合のほか、投資損失引当金の計上は、非上場子会社株式等の実質価額が著しく低下している状況には至っていないものの、実質価額がある程度低下したときや、市場価格のある子会社株式等について市場価額がある程度以上下落している場合など、「金融商品に係る会計基準」等により減損処理の対象に該当しない場合が計上可能となっています。

なお、投資損失引当金を計上する場合には、過度に保守的にならないように留意する必要があることになっています。

ロ.投資損失引当金計上後、子会社の財政状態が更に悪化して株式の実質価額が著しく下落した場合、又は、子会社の財政状態が改善し、株式の実質価額が回復した場合には、同引当金は取崩されることになります。

ハ.投資損失引当金に関する有価証券報告書の記載事例は次のようになっています(平成24年3月期)(JICPA有報サーチにより調査)。