改正退職給付会計基準で個別財務諸表に適用される項目について、教えてください。

2013年04月05日 更新

■ ご質問

退職給付会計基準が平成24年6月に改正され、①数理計算上の差異及び過去勤務債務に係る未認識項目の処理方法、②退職給付債務・勤務費用の計算方法を柱に見直しが行われていますが、個別財務諸表に適用される項目にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

■ 回 答

1.今回の改正退職給付会計基準の改正項目で個別財務諸表に適用になるものは、次のようになります。

① 退職給付債務・勤務費用の計算方法
・退職給付見込額の見積りに当たっての予定昇給率の見直し
・退職給付見込額の期間帰属方法の見直し(期間定額基準、給付算定  式基準の選択)
・退職給付債務の割引計算にあたっての割引率の見直し
② 開示の拡充(新規追加)
・退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表
・年金資産残高の期首残高と期末残高の調整表
・年金資産に関する事項(年金資産の主な内訳を含む。)
③ 複数事業主制度の取扱いの見直し
④ 名称の変更
・過去勤務債務→過去勤務費用
・期待運用収益率→長期期待運用収益率

2.今回の改正の目玉である数理計算上の差異及び過去勤務債務に係る未認識項目(以下、未認識項目という。)に関する改正は、連結財務諸表のみの適用となっております。

個別財務諸表に未認識項目を負債計上することは、会社法上の分配可能額に影響が及ぶ可能性が懸念されることや年金法制との関係、また市場関係者の合意形成が十分に図られていない状況を踏まえ、当面の間、個別財務諸表には未認識項目の処理方法の改正は適用されないことになっています。また、任意で適用することも認められておりません。
連結上、未認識項目は、その他の包括利益(退職給付に係る調整額)とされていますが、個別財務諸表では、包括利益の会計基準が当面の間、適用されていないためとも考えられます。

3.したがって、個別財務諸表では、その他の包括利益(退職給付に係る調整額)やその他の包括利益累計額(退職給付に係る調整累計額)を用いた会計処理は生じないことになり、組替調整(リサイクリング)やこれらの処理に関連した注記(その他の包括利益に計上された数理計算上の差異及び過去勤務債務用の内訳)も適用されないことになります。

4.そのため、個別財務諸表における未認識項目の会計処理は、従来と同じであり(遅延認識)、改正前会計基準と同様に平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に償却することとされていますので、退職給付引当金の名称が引き続き使用されています。

退職給付費用   ×××     /  退職給付引当金   ×××

5.連結財務諸表を併せ作成する会社の場合には、個別財務諸表において未認識項目の貸借対照表における取扱いが連結財務諸表と異なる旨の注記を「その他財務諸表の作成のための基本となる事項」に記載されることになります。