資産除去債務の見積りの変更について教えてください

2012年12月06日 更新

■ ご質問

資産除去債務会計基準が平成22 年4 月1 日以後開始する事業年度から適用されたため、当社は、店舗等の不動産賃貸借契約に基づく退去時の原状回復費用を資産除去債務として計上しています。しかしながら、今期、除去費用が当初の見積額を超過する見込みであることが明らかになりました。
そのため、有形固定資産の除去に要する割引前将来キャッシュ・フローの見積額の変更に伴う会計処理を検討していますがどのような会計処理になりますか。また、その場合の開示はどのようになりますか。

 

■ 回 答

イ.資産除去債務が発生したときには、有形固定資産の除去に要する割引前将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定して次のように計上することになります。
(有形固定資産) ××× (資産除去債務) ×××
ロ.資産除去債務計上後、資産除去債務を巡る状況の変化が生じて、割引前の将来キャッシュ・フローに重要な見積の変更が生じた場合の変更による調整額は、資産除去債務に係る負債及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して処理することになっています(資産除去債務会計基準第10 項)。
したがって、次のような処理になります。

 
(設例) 当初の割引前将来キャッシュ・フローの見積額は、1000 であったが3 年後の見積は1300 に増加する。割引率2%。

(有形固定資産)   282    (資産除去債務)   282

(注)見積額の増加(現在価値): 300 /(1.02)3 =282

その調整方法は、一時の損益とする方法等ではなく、見積額の変更による調整額を資産除去債務に係る負債及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して、減価償却を通じて残存耐用年数にわたり費用配分することとされています(プロスペクティブ・アプローチ)(資産除去債務会計基準第50 項)。

加減された後は当初と同様に減価償却や利息費用の計上を通して損益に反映されることになりますが、会計上の見積の変更は遡及して処理されることはありませんので、変更が行われた期間以降にわたり会計処理することとされています(過年度遡及会計基準第17 項)。

なお、超過する除去に要する割引前将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で資産除去債務に係る負債及び関連する有形固定資産の帳簿価額に計上することになりますが、当該キャッシュ・フローが増加する場合には、その時点の割引率を使用することになります。減少する場合には負債計上時の割引率を使用することになっています(資産除去債務会計基準第11 項)。

ハ.資産除去債務の見積を変更した場合には、その変更の概要及び影響額を記載することとされています(資産除去債務会計基準第16 項(4)、財規第8 条の28)。

参考までに記載事例を示すと次のようになります。

(記載事例)
(資産除去債務関係)

前連結会計年度
(自 平成22 年4月1日
至 平成23 年3月31 日)
当連結会計年度
(自 平成23 年4月1日
至 平成24 年3月31 日)
期首残高(注)14,348 千円14,614 千円
時の経過による調整額2661,135
資産除去債務の履行による減少額△5,800
見積りの変更による増加額4,782
期末残高14,61414,732

資産除去債務のうち連結貸借対照表に計上しているもの

イ 当該資産除去債務の概要
当社グループは本社オフィスや店舗等の不動産賃貸借契約に基づき、退去時における原状回復に係る債務を資産除去債務として計上しております。

ロ 当該資産除去債務の金額の算定方法
使用見込期間を取得から15 年と見積り、割引率は0.934%~1.854%を使用して資産除去債務の金額を計算しております。

ハ 当該資産除去債務の総額の増減

(注) 略

ニ 当連結会計年度において、将来発生すると見込まれる原状回復費用の見積額が変更になったことに伴い、増加額4,782 千円を資産除去債務に加算しております。