投資有価証券評価損の四半期・年度決算における取扱い

2012年09月07日 更新

■ ご質問

当社は 3 月決算の上場会社です。このところの株安で投資有価証券 A の時価が著しく下落しているため、この第1四半期(4 月から 6 月まで)で投資有価証券評価損を特別損失に計上しています。

第2四半期以降の A 株の時価が、次の場合のとおりとした場合の各四半期と年度末における会計処理はどのようになりますか。

      当期首  第1Q末(減損)  第2Q末   第3Q末   当年度末
A 株の時価   100    40        60     55     70

■ 回 答

有価証券の減損処理は、年度末においては、切放し法のみでありますが、四半期決算では、関連諸制度との整合性が考慮されて、継続適用を条件として、四半期切放し法と四半期洗替え法が認められています(四半期適用指針第 4 項)。

四半期切放し法とは、減損処理を行った後の四半期会計期間末の帳簿価額を時価等に付替えますが、四半期洗替え法では、四半期会計期間末における減損処理に基づく評価損の額を翌四半期会計期間の期首に戻入、戻入後の帳簿価額と四半期会計期間末の時価等を比較して減損処理の要否を検討します。

したがって、いずれの方法を採用するかにより会計処理は異なってきます。

なお、時価が著しく減損していない場合には、時価をもって貸借対照表価額とされ、評価差額は洗替え法に基づいて処理され、その他有価証券評価差額金として純資産の部に計上される(金融商品会計基準第 18 項)ことは年度決算と同様であります。

投資有価証券の減損処理に係る四半期切放し法又は四半期洗替え法と減損処理に到らない場合の評価差額の会計処理を併せた具体的な仕訳を設例に基づいて掲げると次のようになります。

なお、純資産の部に計上されるその他有価証券評価差額金については、税効果会計を考慮しなければならないことになっQ&Aコーナー ています(以下の設例では、税効果は省略しています。また、著しい時価の下落を 50%としています。)。

(1)四半期切放し法を採用している場合

・第1四半期末
(時価が著しく下落したため減損処理)
(投 資 有 価 証 券 評 価 損) 60 (投 資 有 価 証 券) 60

 
・第2四半期末
(減損後の帳簿価額 40 の時価が 60 になるので評価差額の計上)
(投 資 有 価 証 券) 20 (その他有価証券評価差額金) 20

 
・第3四半期末
(第2四半期に計上した評価差額の戻入)
(その他有価証券評価差額金) 20 (投 資 有 価 証 券) 20
(帳簿価額 40 の時価が 55 になるので評価差額の計上)
(投 資 有 価 証 券) 15 (その他有価証券評価差額金) 15

 
・第4四半期首
(第3四半期に計上した評価差額の戻入)
(その他有価証券評価差額金) 15 (投 資 有 価 証 券) 15

 
・年度末
(帳簿価額 40 の時価が 70 になるので評価差額の計上)
(投 資 有 価 証 券) 30 (その他有価証券評価差額金) 30

(2)四半期洗替え法を採用している場合

・第1四半期末
(時価が著しく下落したため減損処理)
(投 資 有 価 証 券 評 価 損) 60 (投 資 有 価 証 券) 60

・第2四半期末
(第1四半期で計上した減損損失の洗替え)
(投 資 有 価 証 券) 60 (投 資 有 価 証 券 評 価 損) 60

(減損損失洗替え後の帳簿価額 100 の時価が 60 になるので評価差額の計上)
(その他有価証券評価差額金) 40 (投 資 有 価 証 券) 40 ・第3四半期末

(第2四半期に計上した評価差額の戻入)
(投 資 有 価 証 券) 40 (その他有価証券評価差額金) 40

(帳簿価額 100 の時価が 55 になるので評価差額の計上)
(その他有価証券評価差額金) 45 (投 資 有 価 証 券) 45

・第4四半期首
(第3四半期に計上した評価差額の戻入)
(投 資 有 価 証 券) 45 (その他有価証券評価差額金)45

・年度末
(帳簿価額 100 の時価が 70 になるので評価差額の計上)
(その他有価証券評価差額金) 30 (投 資 有 価 証 券) 30

この設例のように四半期切放し法と四半期洗替え法では年度間の処理で は相違が生じることになります。四半期洗替え法では、当期首帳簿価額 100 が期末時価 70 のため、期末において減損処理が行われませんが、四半期切放し法では、第1 四半期において計上した減損処理が期末に確定することになります。

また、会社法監査単独会社の場合で四半期決算がない場合には、期末における時価 70 をもって貸借対照表価額とされ、その他有価証券評価差額金が計上されますが、これは四半期洗替え法と同様の結果となると考えられます。

一般的には四半期洗替え法を採用している企業が多いと思われます。