上場株式の下落率が30%から50%にある場合の実務的対応

2017年02月13日 更新

■ ご質問

下落率が50%以上ではないが、30%から50%の範囲内にある上場株式を保有しています。この場合の減損について、実務ではどのような対応がとられているのでしょうか。

■ 回 答

イ. 時価が取得原価に比し、50%以上下落している場合には、合理的な反証がない限り、回復する見込のないほど著しい下落があったものとみなして、減損処理をしなければなりません。しかし、下落率が30%以上50%未満の場合には、「状況によっては時価の回復可能性がないとして減損処理を要する場合があることから、時価の著しい下落があったものとして、回復可能性の判定の対象とされることもある。」(金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14号)、以下金融商品会計実務指針と略 第284項)となっています。したがって、下落率が50%未満だからといって何らの対応をとらないことは適当とは認められないものと考えられます。
 ロ.この場合には、状況に応じて、個々の企業において時価が「著しく下落した」と判定するための「合理的な基準」を設け、その基準に基づき回復可能性の判定の対象とするかどうかを判断するものとされております(金融商品会計実務指針 第284項)。合理的な基準は、文書をもって設定しておき毎期、継続して適用し、その内容を注記において説明することが望ましいとされています。
 ハ.個々の企業における具体的な対応を有価証券報告書の記載事例から見ると次のようになります。
 
(有価証券報告書における具体的記載事例)
(有価証券関係)「減損処理を行った有価証券」30%以上50%未満下落した場合の取扱い

  <回復可能性を考慮して減損処理している場合>
① 30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしている。 
② 減損処理の基準は、時価が取得原価より30%以上下落したもののうち、回復の見込みがあると認められる銘柄を除いた銘柄について減損処理することとしております。
③ 期末における時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満であるものについては、時価の推移及び発行体の財政状況等を判断した上で、回復可能性を判断し、回復可能性のないものについて減損処理を行っています。

<30%以上下落した場合すべて減損処理をしている>
時価のある有価証券の減損処理に当たっては、期末における時価が取得原価に比べ30%以上下落した場合には,すべて減損処理を行っています。

<期間を定めて減損処理をしている場合>
個々の銘柄の時価が前連結会計年度及び当連結会計年度において30%以上50%未満下落したものについて回復可能性がないものとして減損処理の対象とします。

<40%以上と30%以上40%未満に区分して回復可能性を判断している場合>
なお、当社グループの減損処理の基準は次のとおりであります。
(1)個々の銘柄の時価が40%以上下落した場合
   時価が1年以内に取得原価にほぼ近い水準まで回復することが明らかな場合を除き、減損処理をしております。
 (2)個々の銘柄の時価が取得原価に比べて30%以上40%未満下落した場合
  次のいずれかに該当する場合は回復可能性がないものとして減損処理をしております。
a 下落率が2年間にわたり取得原価の30%以上40%未満で推移している。
b 発行会社が債務超過の状態にある。
c 2期連続して損失を計上し、翌期も損失の計上が予想される。

<総合的に判断して減損処理している場合>
期末日における時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満であるときは、過去一定期間における時価と取得原価との乖離状況等保有有価証券の時価水準を把握するとともに、発行体の公表財務諸表ベースでの各種財務諸表比率等の検討により、総合的に判断して減損処理を行っております。

以  上