繰延税金資産の回収可能性に係る(分類2)の要件の見直しについて教えてください

2016年05月11日 更新

■ ご質問

  平成27年12月に公表された企業会計基準適用指針第26 号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」では、繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっての(分類2)の分類要件が「経常的な利益」という会計上の利益に基づく要件から、「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得」に変更されています。
当社は3月決算会社、子会社からの受取配当金が継続的に多額に生じています。当該配当金は、会計上は経常利益を構成しますが、税務上は、益金不算入項目となるため、課税所得が減額されることになります。
その結果、(分類2)の要件を満たさないことになり、平成29年3月期の適用初年度の期首においては、(分類3)に該当することになる予定です。そのため、一部の繰延税金資産が取崩しされることになります。
この場合、適用初年度においては、企業会計基準適用指針第26 号の適用による「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」として、その影響額を利益剰余金に加減することでよいでしょうか。

■ 回 答

企業会計基準適用指針第26 号の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取り扱うこととされているのは、次の①、②,③に限定されており、当該変更による影響額は利益剰余金に加減することとされています。
その理由としては、会計方針の変更を、従来の取扱いである監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」の定めの内容を実質的に変更しているものに特定したことによることとされています。
①(分類 2)に該当する企業において、スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産について回収できることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には回収可能性があるとする取扱い
②(分類 3)に該当する企業において、おおむね5年を明らかに超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には回収可能性があるとする取扱い
③(分類4)の要件に該当する企業であっても、将来において5 年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には(分類2)に該当するものとする取扱い

  したがって、本設問は、上記の限定したケースには当てはまらないので会計基準等の改正に伴う会計方針の変更には該当しないことになります。
 そのため、分類変更による影響額(適用初年度の期首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産の額と、前年度末の繰延税金資産の額との差額)は、利益剰余金に加減されずに、損益に計上されることになると考えられます。しかし、「適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更による影響額の注記について、企業会計基準第24号第10項(5)ただし書きの定めにかかわらず、適用初年度の期首の繰延税金資産に対する影響額、利益剰余金に対する影響額、及びその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に対する影響額を注記する。」となっていますので、本ケースの場合は、該当する影響額はありません。したがって、その旨の注記は要求されていません。

以 上