会計監査人の監査報告書日と修正後発事象について教えてください

2015年12月08日 更新

■ ご質問

日本公認会計士協会から公認会計士制度委員会研究資料第2号「会社法監査に関する実態調査―不正リスク対応基準の導入を受けてー」が平成27年9月17日に公表されています。決算発表の早期化が監査報告書に与える影響が記載されていますが、その中において、修正後発事象に与える影響にも言及されていますがどのような内容ですか。

■ 回 答

イ.会社法及び会社計算規則において、会計監査人の監査報告書の提出期限については定めがあります。

・計算書類及びその附属明細書に係る会計監査人の監査報告については、
① 計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日
② 附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
③ 特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日
のうちいずれか遅い日までに、特定監査役及び特定取締役に対し、その内容を 通知しなければならないこととされています。
・連結計算書類に係る会計監査人の監査報告については、
連結計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日(特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日がある場合にあっては、その日)までに、 特定監査役及び特定取締役に対し、その内容を通知しなければならないこととされています。

ロ.しかしながら、上場会社の決算短信は、決算日から45日以内での発表が要請されており、発表に当たっては会計監査人の監査報告書の入手は求められてはおりませんが、「事実上の了承を得られた段階」とされています。そのため、会計監査人の監査報告書日は決算発表以前となっている例が多いと推測されています。

(参考)(研究資料第2号より)
(2)決算短信の開示日と会計監査人の監査報告日の関係

【決算日から監査報告書日までの所要日数の分布状況】

期 間 社数(社) 比率
15日以内 0 0.00%
16日以上30日以内 35社 1.50%
31日以上45日以内 1,559社 65.90%
46日以上60日以内 753社 31.80%
61日以上 19社 0.80%
2,366社

【監査報告書が決算短信発表日以前である上場会社の分布状況調査】

決算短信発表時期 決算短信発表日と監査報告書日の関係 社数(社) 比率
4月 監査報告書日が決算短信発表日より前 23 1.00%
監査報告書日が決算短信発表日と同じ 5 0.20%
小  計 28 1.20%
5月 監査報告書日が決算短信発表日より前 777 32.80%
監査報告書日が決算短信発表日と同じ 160 6.80%
小計 937 39.60%
6月 監査報告書日が決算短信発表日より前 4 0.20%
監査報告書日が決算短信発表日と同じ 1 0.00%
小  計 5 0.20%
970 41.00%

 

ハ.そのため、決算発表の早期化により、会計監査人の監査報告書が法令の想定よりも早い時期に提出されますと、金商法における修正後発事象の取扱いにも影響を与えることとなると同研究資料には記載されています。
即ち、修正後発事象が、会計監査人監査報告書日後に発生した場合、金商法に基づいて作成された財務諸表においては、(計算書類との単一性を重視すべく、)財務諸表が修正されないで、開示後発事象に準じて取り扱われてしまうことになります(監査・保証実務委員会報告第36号「後発事象に関する監査上の取扱い」4、(2)① b(a))。

投資家保護という 金商法の目的に鑑み、また、債権者保護のための分配可能額の計算という会社法の目的を達成するため、修正後発事象をできる限り財務諸表及び計算書類に反映できることが望ましいとされています。

したがって、会計監査人の監査報告書を法令が想定する時期よりも早くに提出することはできる限り避けるべきとされていますので留意が必要です。

なお、次のような注記事例(単体)が掲げられています(研究資料第2号)。
「当社は、当事業年度における業績等を勘案し、平成●年●月●日開催の取締役会において、平成●年●月に支給する予定である夏季賞与に係る会社業績係数につき、職位に応じ●%~●%とする旨決定しております。これに伴い、当事業年度において計上した賞与引当金及び賞与に係る未払法定福利費●●●百万円を取り崩し、翌期に特別利益として計上予定であります。本件は、会社法第436 条第2項第1号の規定に基づく会計監査人の監査報告書作成日後に生じた事象であるため、後発事象として記載しております。」
以 上