資産除去債務と税効果会計について教えてください

2015年10月09日 更新

■ ご質問

資産除去債務に関する税効果会計がよくわかりません。
資産除去債務に関する会計基準では、借方に資産除去債務に対応する除去費用が有形固定資産として計上され、貸方に資産除去債務が計上されますが、貸方の資産除去債務に対しては、繰延税金資産、借方の資産除去債務に対応する除却費用については、繰延税金負債を計上することでよいのですか。

■ 回 答

イ.資産除去債務の発生時に、会計上、資産除去債務とこれに対応する除去費用がそれぞれ負債と資産に計上されます。この負債及び資産は、税務上の負債及び資産として認められないため税効果会計の対象になります。

ロ.会計上、負債に計上された資産除去債務に関しては、将来の会計・税務の差異の解消時(除去費用の支出時に減算認容)にその年度の課税所得を減額させるため将来減算一時差異となり、繰延税金資産を計上することになるものと考えられます。

ハ.また、会計上、資産計上された資産除去債務に対応する除去費用については、有形固定資産の帳簿価額を増加させ、税務上の額よりも大きくなります。
この会計上と税務上の差額については、将来の減価償却の実施により、会計上の減価償却費が税務上の減価償却費の損金算入限度額を超過することになり、各期の課税所得を増額させることになるため、将来加算一時差異となり、繰延税金負債を計上することになるものと考えられます。

ニ.繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、将来加算一時差異の十分性により、繰延税金資産の回収可能性を判断することになるものと考えられます。
将来減算一時差異と将来加算一時差異の解消見込額のスケジューリングを実施し、両者が見合う部分については、解消見込年度ごとに相殺されるため、結果として将来減算一時差異の回収可能性はあると判断されることになっています。残る将来減算一時差異の解消見込額については、その金額を将来年度の課税所得の見積額と解消見込年度ごとに相殺することになります(監査委員会報告第66号3.繰延税金資産の回収可能性の判断に関する手順)。

       (借方)                  (貸方)
 資産計上された除去費用             資産除去債務

   将来減算一時差異              将来加算一時差異
   (繰延税金資産)              (繰延税金負債)

 (会計処理)
  ・取得時
   固定資産(本来の資産)      ×××       現金預金 ×××
   固定資産(資産除去債務対応分) ×××       資産除去債務 ×××
   繰延税金資産           ×××      繰延税金負債 ×××

  ・期末
   利息費用 ××× 資産除去債務 ×××
   繰延税金資産 ××× 法人税等調整額 ×××
   減価償却費 ××× 固定資産 ×××
   繰延税金負債 ××× 法人税等調整額 ×××

ホ. したがって、資産除去債務計上時に、貸方の資産除去債務に対して繰延税金資産を、借方の資産除去債務に対応する除去費用に対しては、繰延税金負債を計上することになるものと考えられます。
以  上