行政不服審査法の改正について

2013年07月03日 更新

「行政不服審査制度の見直しについて(案)」の意見募集が5月31日終了しました。総務省は、6月を目途に見直し方針について取りまとめを行った上で法案作成作業に入り、来年の通常国会に法案提出を目指しています(総務省HPより)。

行政不服審査法は、昭和37年の制定で50年ぶりの実質的な法改正となります。本メルマガには経理マンの読者も多いと思いますが、国税通則法への影響が気になるところではないでしょうか。なぜなら、国税にかかる不服申立については、特別法としての国税通則法に従うことになるからです。

現在、処分庁(税務署長など)の処分(更正・決定など)に対し不服がある場合には、

ア.2ヶ月以内に処分庁に対する異議申立
上記異議決定に不服がある場合
      ⇓
イ.1ヶ月以内に国税不服審判所長に審査請求
上記審判所長の裁決に不服がある場合
      ⇓
ウ.6ヶ月以内に地方裁判所に原処分取消訴訟

 といった仕組で納税者の権利救済が図られています。

一方、行政不服審査法にかかる大きな改正予定は、①審理員制度の創設、②第三者諮問機関の創設、③不服申立前置制度の縮小、④不服申立期間の延長、等々です。

審理員制度とは、処分に関与していない職員に審理をさせ、公正性を確保する制度です。

第三者諮問機関とは、有識者からなる機関を設け裁決の前に答申を出させる機関です。

しかし、国税に関してはすでに、第三者機関としての国税不服審判所が設けられていることから、上記①②は適用されない見通しです。

不服申立前置制度とは、「不服申立」を行ったあとでなければ、裁判所に提訴できない。とする制度です。現在、国税については<図1>の通り、アの異議申立とイの審査請求を経た後での提訴になりますので、「二重前置」制度になっています。このうち、異議申立前置がなくなり「一重前置」制度に改正される見通しです。

そして、不服申立期間は3ヶ月(あるいは行政事件訴訟法に合わせ6ヶ月)に延長される見通しです。

行政への不満に対し国民を救済する制度の充実を図ろうとする今般の法改正は意味あるものだと思います。

しかし、国税に関しては国税不服審判所があることをもって、第三者諮問機関が不要であるとの結論に落ち着きそうなことは残念です。平成23年2月末現在、審判員の定員477名のうち民間の専門家は18名(弁護士8名、税理士6名、公認会計士4名)。今後、平成25年末までに50人まで民間からの登用を増やすことを目標としている(国税不服審判所HPより)ようですが、やはり、税務署や国税局出身者といった課税庁側に片寄った構成になってしまっていることに変わりはありません。名ばかりの第三者機関というのが納税者の印象でしょう。

2ヶ月を徒過してしまった場合には不服申立が不可能になってしまう現制度からすれば、異議申立制度がなくなり不服申立期間が延長されることは評価できます。とはいうものの、「提訴すべきか、不服申立すべきかを納税者が自由に選択できることを原則とすべき」と筆者は考えます(例えば、処分について違憲判断を迫る場合などには国税不服審判所で結論が出ると期待すること自体が非現実的です。)が、読者の皆様はどのようにお考えでしょうか。

50年ぶりの行政不服審査法の改正により、不服申立制度が国民目線に近づいてきていることは間違いありません。今後の動向をしっかりとウオッチしていきたいと思います。そして、国税不服審判所とうまく付き合えたらと考えています。

「審査請求は手数料が“タダ”ですから!」

(公認会計士 田中 仁)