最近のIPO動向

2013年05月07日 更新

昨年の政権交代以降、新政権による金融緩和や財政出動などによる一連の景気回復等により株価が上昇し、先日、日経平均株価が1万3千円を超えました。

そのような状況の中、新規上場会社がぞくぞくとでてきています。平成23年は、年間37社、平成24年は年間46社でしたが、今年は4月末までにすでに15社となっており(平成24年度の同期間では12社)、年間を通せば、ゆうに50社は超えるのではないかといわれております。ちなみにリーマンショック前後の平成20年については、49社が新規上場を果たしていますので、リーマンショック前の状況に戻ったのではないでしょうか。

平成25年1月~4月までのIPO企業の状況は下記のとおりであります。
 
 
 

平成24年1月~平成25年4月までのIPO企業の特徴は以下のとおりであると分析できます。

① 初値が公募価格を上回る企業が多い。
平成24年は46社中9社が公募価格を下回りましたが、平成25年はすべての会社が公募価格を上回っています。特に平成25年は騰落率が100%を超える企業が半数を超えており、最近の株高が反映された結果となっています。

② 地方都市からの上場が増加している。
平成23年は東京を中心とした関東地方からの新規上場会社が多く、関東地方以外からの新規上場会社は9社しかなかったが、平成24年は16社も新規上場を果たしており、特に北海道、東北は平成23年ゼロだったのに対し、平成24年はそれぞれ2社上場し、また、九州地方は平成23年1社だったのに対し、平成24年は5社も上場を果たしております。さらにこの流れは平成25年も続いており、メドレックスは香川県、買取王国は愛知県からの上場であります。

③ マザーズ、ジャスダック等の新興市場への上場が増加している。
平成23年は新興市場への上場会社は27社でありましたが、平成24年は49社と増加し、さらに平成25年も12社中8社は新興市場であります。また、平成24年には、アンビシャス(札幌証券取引所)が4年3か月ぶり、Qボード(福岡証券取引所)は5年4カ月ぶりに新規上場会社が誕生しました。

平成25年は、自民党政権が掲げる成長戦略の中、規制緩和やイノベーション基盤の強化等、IPOを目指す企業にとっては、追い風が吹くことが期待されております。また、このような市況回復は、市場全体が活性化され、すでに上場を果たしている企業にとっても望まれる姿ではないでしょうか。

(公認会計士 尾関高徳)