会計制度委員会研究報告第14号「比較情報の取扱いに関する研究報告(中間報告)」の公表について

2012年06月04日 更新

1.はじめに

日本公認会計士協会(会計制度委員会)より平成24年5月15日付で「比較情報の取扱いに関する研究報告(中間報告)」(以下「本研究報告」といいます。)が公表されています。

本究報告は企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」、及び「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」等において作成が規定され、適用されている比較情報に対する実務上の取扱いを示すものであり、Q&A方式(全10個)により構成されています。

2.本研究報告の主な内容

① Q1では比較情報に関する基本的な考え方が示され、比較情報は当期の財務諸表の開示が基礎となるほか、重要な会計方針や偶発債務を例に、その考え方が説明されています。

② Q2では前期まで個別財務諸表のみを開示していた会社が当期より連結財務諸表を作成する場合の比較情報の考え方が示されています。この場合、当期(各四半期を含みます。)の連結財務諸表に対応する比較情報が存在しないため、比較情報の開示を要しないとされています。

③ Q4では非連結子会社の重要性が増したことにより新たに連結することとなった場合の比較情報の考え方が示されています。この場合、連結範囲の変更は会計方針の変更に該当しないため遡及修正されず、比較情報である前期の連結財務諸表は修正されないこととされています。

④ Q7では会計方針の変更と表示方法の変更の区分につき、事例に基づき説明されています。

⑤ Q8では前期は特別損益項目として認識していた固定資産売却益を当期は重要性が乏しくなったため「その他」に含めて表示している場合や当期は固定資産売却益が発生していない場合の比較情報の考え方が示されています。

まず、当期に重要税が乏しくなったため「その他」に含めて表示している場合、前期の固定資産売却益を「その他」に組み替え、表示方法の変更に関する注記を行うことになります。

次に、前期に特別損益として独立掲記していた科目が当期は発生していない場合、原則として過去の財務諸表の組み替えを行うことは予定されておらず、前期分は独立掲記のままとし、当期分については「-」と表示する考え方が示されています。

最後に、前期は特別損益に表示していた固定資産売却損益を重要性が乏しくなったため当期は営業外収益・費用に表示する場合、表示方法の変更には該当せず、財務諸表の組み替えは行われないと考えられる旨が示されています。

⑥ Q9では注記に関する表示方法の変更の考え方が示され、例えば、販売費及び一般管理費の内訳について注記により開示している場合、ある費目の重要性が増したことにより当期から当該費目を開示するときには前期の注記についても組み替えを行い、表示方法の変更に関する注記を行うことになるとされています。

なお、重要性が乏しい場合には注記は省略可能とされています。

3. おわりに

本研究報告は実務指針と異なり規範性はありませんが、具体的な事例に基づき説明されているため実際の論点を検討する際に非常に参考になると考えます。

(公認会計士 土橋宏章)