2012年03月08日 更新
日本公認会計士協会から、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」および平成23年度税制改正に対応するための標記の公開草案が公表されました
1.企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に対応する改正
耐用年数の変更について、過去に定めた耐用年数が、これを定めた時点での合理的な見積りに基づくものであり、それ以降の変更も合理的な見積りによるものであれば、当該変更は過去の誤謬の訂正には該当せず、会計上の見積りの変更に該当することになります。
他方、過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものではなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、過去の誤謬の訂正に該当し、修正再表示を行うことになります。
耐用年数または残存価額の変更が会計上の見積りの変更に該当する場合、当該変更の影響は、当期およびその「資産」の残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で、すなわち減価償却を通じて認識することになります。
なお、残存価額の変更が過去の誤謬の訂正に該当する場合は、修正再表示を行うことになります。
2.平成23年度税制改正に係る監査上の取扱い
平成23年度税制改正において、減価償却方法が見直され、平成24年4月1日以後取得する減価償却資産の定率法の償却率が変更されました(200%定率法)。
また、現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産について、平成24年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率に変更することができることになりました。
会計上は旧定額法および旧定率法ならびに250%定率法を引き続き採用することも容認されます。
普通償却限度額を正規の減価償却費として処理している企業が、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に旧定率法、かつ平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産に250%定率法を採用していたときに、新規取得資産に200%定率法を採用する場合には、同一種類で同一用途の資産について類似の減価償却方法を採用するものと認められるため、法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱うことになります。
上記以外で新規取得資産の減価償却方法を変更する場合は、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱うことになり、当該変更が正当な理由によるものであるかどうかについては、慎重に判断する必要があり、単に法人税法の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当しないので、変更理由の合理性(変更の適時性等)に留意する必要があります。
既存資産の減価償却方法を変更する場合は、会計上、法令等の改正に伴う変更に準じた会計方針の変更とは認められず、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱います。変更理由の合理性に留意するとともに、単に法人税法の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当しないことに留意する必要があります。
(公認会計士 乙藤貴弘)