税効果の計算が少し面倒になります

2011年12月12日 更新

11月24日に「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」(平成23年度税制改正案)及び「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案」が衆議院を通過し、11月30日に参議院でも可決されました。

前者は法人税率を30%から25.5%に引き下げるというもので、後者は平成24年度から平成26年度に開始する事業年度から3年間にわたって東日本大震災の復興のための付加税(本税の10%)をかけるというものです。

これにより、スケジューリングによる一時差異の解消年度によって税効果会計で使用する法定実効税率が異なることになり、繰延税金資産・負債の計算が少し煩雑になります。

一般的な会社でいうと

(改正前)改正後(暫定)
改正後計算過程
法人税30.00%25.50%25.50%a
復興特別法人税(*1)2.55% -b=a*10%
住民税(*2)
6.21%
5.2785%5.2785%c=a*20.7%
事業税(*2)
3.26%
3.26%
3.26%d
地方法人特別税(*2)
4.292%
4.292%
4.292%
e=2.9%*148%
法定実効税率40.69%
38.01%
35.64%
(a+b+c+d+e) / (1+d+e)

になります。

*1 復興特別法人税の課税標準(基準法人税額)は、課税所得金額に税率を乗じて計算した金額ではなく、試験研究費等の税額控除等を適用した後の税額です(復興財源法44条)。

*2 外形標準課税適用対象法人(期末資本金の額が1億円超)、かつ軽減税率不適用法人に該当する場合の東京都の税率を用いています。

上記は、当該法律の公布日以降の決算期から適用されることになります(個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第10号)第18項、37項)。

復興税は大震災被災地及び被災者の方々の支援目的であり意義はありますが、一方で増税は経済活動へマイナスの影響を与えることになりますので、増税や復興債よりも国費のムダ遣いの削減を本気で考えてもらいたいものです。

(公認会計士 上田 昌宏)

編集者注

原稿執筆時点では改正税法は未公布でしたが、12月2日に公布されましたので、合わせてお知らせいたします。