四半期開示の有り方についての検討課題やアンケート結果

2022年12月01日 更新

川崎 大介 

経営財務3575号「金融庁 四半期開示の議論再開、開示内容や保証が焦点」によると、金融庁・金融審議会は2022年10月5日、「ディスクロージャーワーキング・グループ」(DWG)を開催し、前回のDWGで金商法上の四半期開示義務(第1と第3四半期)を廃止し、四半期決算短信に一本化する方向になったことを受け、その具体化に向けて下記の6つの課題について検討したとのことです。

①四半期短信の義務付けの有無
②適時開示の充実
③四半期短信の開示内容
④四半期短信の監査人によるレビューの有無
⑤四半期短信の虚偽記載に対するエンフォースメント
⑥半期報告書・中間監査のあり方

更に上記に関連して、経営財務3576号では、日本証券アナリスト協会(以下、アナ協)が実施した「四半期開示の見直しに関するアンケート」(ディスクロージャー研究会と企業会計研究会の委員、国際会計人材ネットワークの同協会登録者を対象)の集計結果が、同3578号では、関西経済連合会(以下、関経連)が実施した「四半期開示のあり方」に関するアンケート(回答者の属性は、経理・財務・IR部門の責任者(担当者)等)の集計結果が紹介されています。

会計監査に携わる一会計士としては、検討課題の①四半期短信の義務付けの有無と④四半期短信の監査人によるレビューの有無については、特に関心の高い内容でしたので、記事の内容を紹介したいと思います。

① 四半期短信の義務付けの有無
海外の状況を見ると、米国では義務化が継続されているが、欧州では基本的に任意化されているようです。
アナ協のアンケート結果では「全上場企業に開示を義務付けて欲しい」が66%と最多、関経連のアンケート結果では、「四半期決算短信も提出義務を廃止し、任意の取扱いとする」との回答が53.8%と最多となっています。

④ 四半期短信の監査人によるレビューの有無
 DWGにおいては、各委員から「財務情報の公表を義務付けるなら、レビューも義務付けるべきだ。適正財務報告のアカウンタビリティを果たしたい企業にとっては、独立監査人のレビューを受けるメリットがあり、資本市場の信頼性確保や投資家保護にもつながる」、「仮に義務付けないならば企業の任意でレビューを受けることができるように」などの意見があり、事務局は、レビューを行う場合の課題として、四半期短信の提出時期に遅れが生じる可能性を取り上げたとのことです。
アナ協のアンケート結果では、第1・第3四半期への監査人によるレビューや臨時報告書による開示は、56%が速報性を重視するため、不要としています。一方、監査人によるレビューが「必要」も44%と一定程度のニーズはあったようです。また、第2四半期の開示方法や保証等は、「監査人による中間監査またはレビューは必要」が73%と多数を占めているとのことです。
関経連のアンケート結果では、第1・第3四半期決算短信に対する監査法人のレビューについては、「四半期決算短信へのレビュー報告書の添付は不要」とする回答が83.3%。その理由には、「注記などの作成実務負担が増える」「監査人レビュー対応が必要となる結果、四半期決算短信の速報性が損なわれる」などがありました。第2四半期については「第2四半期報告書とし、レビューを行う」が41.0%と最多であったようです。

上記アンケート結果については、アナ協、関経連それぞれの立場・回答者の属性からすると納得の結果と感じました。個人的には、四半期短信を任意化しても、株主・投資家との対話を重視する企業は短信を開示しないという選択は行わないと思いますし、逆に、それを軽視する姿勢の企業はその株価に反映されるのではないかと思われ、短信を任意化して判断を各企業に委ねても良いのではないかと考えました。四半期短信の監査人によるレビューが仮に任意化されると、レビューを受けることに伴う人的・時間的・金銭的な諸々のコストに見合うメリット(短信への信頼性付与)が有ると判断されるか否かで、各企業の選択は変わってくるのではないかと考えました。いずれにしろ、監査法人に対しては、よりコストパフォーマンスの高いサービスの提供が求められることになりそうに感じました。私も、コスパの良い商品や飲食店が大好きです。

以 上