2012年06月28日 更新
まず平成22年度税制改正では100%グループ内の子会社の解散・清算に関する以下の改正がありました。
100%グループ内の平成22年10月1日以降の解散子会社に対して、その残余財産が確定すれば、適格合併と同様に当該子会社の欠損金を親会社に引き継げことになるとともに、一方で当該解散に係る親会社が保有する子会社株式の消滅損については損金算入できないこととなりました。そして当該消滅損相当額は、損益取引とはならず親会社の資本金等の額から控除されることになります。
しかしながら上記の改正は子会社株式の評価損に関する改正が行われなかったために、残余財産確定前に子会社の評価損の損金算入が可能ではないかとの疑問が生じていました。
そこで平成23年度税制改正において上記疑問を解消するため、以下のような評価損の計上ができないように改正が行われました。改正による評価損不計上の100%グループ内の子会社は以下のとおりです。
・清算中の内国法人
・解散をすることが見込まれる内国法人(合併による解散を除く)
・内国法人でその内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの
なお、この改正は平成23年6月30日以後に行われる評価替え等から適用されます。
従来、棚卸資産の評価損には「洗い替え低価法」と「切り放し低価法」の2方法が認められていましたが、平成23年度税制改正で「切り放し低価法」が廃止されました。
そして、この改正は平成23年4月1日以後の開始事業年度から適用されます。
また、この改正により従来「切り放し低価法」を採用してきた法人は「洗い替え低価法」に変更することになりますが、適用開始事業年度の期首の取扱いについては以下の経過措置が設けられています。
改正法が適用される期首の評価額については、原始取得価額を基準として「洗い替え低価法」を採用する必要はなく、当該直前の事業年度の終了時における評価額により取得されたものとみなされることになります。
試験研究を行った場合の法人税の特別控除特例の延長とは、平成21年4月1日から平成23年3月31日までに開始する事業年度において税額控除の適用を受ける場合に、その限度額が当該事業年度の法人税額の20%から30%に引き上げられていたものが、平成24年3月31日までに開始される事業年度まで延長されました。
試験研究を行った場合の法人税の特別控除制度の内容は以下のとおりです。
(ア)試験研究費の総額に係る税額控除制度
(イ)特別試験研究費の額に係る税額控除制度
(ウ)繰越税額控除限度額超過額に係る税額控除制度
(エ)中小企業技術基盤強化税制
(オ)繰越中小企業者等税額控除限度額超過額に係る税額控除制度
高利率の還付加算金の受領を目的とした中間申告を防止する目的から以下に該当する場合には仮決算による中間申告はできなくなりました。
この改正は平成23年4月1日以後開始事業年度の中間申告から適用されます。
中間申告の制限を受ける場合とは以下の場合です。
○前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6が10万円以下の場合
○前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6が<仮決算による中間申告額の場合
したがって今後仮決算による中間申告は申告額が予定納税額以下になる場合に限られることになりました
(公認会計士 猪子幸男)