2019年08月09日 更新
川崎 大介
日本人ほど、「贈答」が大好きな国民は他にないのではないだろうか、と考えることがあります。お中元、お歳暮、冠婚葬祭に始まり、クリスマスやバレンタイン、更には、旅行に行けばたくさんのお土産品を買って帰ったり、営業マンが取引先に手土産を持参する等々、枚挙にいとまがありません。
個人的には、この日本人の贈答好き文化が少なからず影響していると思っているのですが、日本には時々、不思議な制度が誕生します。例えば、「株主優待制度」と「ふるさと納税制度」です。
株主優待制度とは、簡単にいうと、株主の権利確定日に一定以上の株数を保有していることを条件に、様々な贈答品がもらえるという制度です。この株主優待制度は、優待品をもらえる株主ともらえない株主がいたり、優待される程度が株数に応じて平等になっていなかったりするため、資本主義の根幹を支える株主平等原則(=株式会社の株主は、株主としての資格に基づく法律関係においては、その内容及び持ち株数に応じて平等に扱われなければならないとする原則)に照らすと、理論的には説明しにくい不思議な制度です。ただし、これを条件付きながら認める判例があるため、現在、多くの上場会社で株主優待制度が採用されています。
ふるさと納税制度とは、簡単にいうと、地方自治体に寄付を行うと、所得計算上、その寄附金額から原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となり、更には寄付をした地方自治体から様々な返礼品が贈答されるという制度です。税務上、所得税控除の対象となる「寄附金」とは、反対給付を伴わない寄附をいいますが、国が反対給付の伴う「ふるさと納税」という寄附金を認めてしまいました。地方自治体のなかには、この制度を活用して赤字財政を立て直そうとする自治体も出てきてしまうなど、やはり、こちらも理論的には説明しにくい不思議な制度です。
諸外国の方からみると、なぜこんな不思議な制度が成り立っているのか理解に苦しむのではないでしょうか。まさに不思議の国ニッポン。
上記のとおり、とても不思議な制度だと思いますが、個人的には、株主優待制度もふるさと納税制度も大好きで、時々ありがたく利用させて頂いております。私も「贈答」が大好きな日本人なんだなと改めて感じた次第です。
以 上