2019年06月12日 更新
乙藤 貴弘
常に「AIに取って代わられる職業ランキング」の上位争いをしている公認会計士ですが、AIを利用してどれだけ監査業務が楽になるか考えていきます。
あくまでも私見ですので、予めご承知おきください。
主な監査手続ごとに考察してみます。
・監査計画の策定・・・これはAIには無理ですね。やっぱ自分でやらなくては。
・実査・・・AIが出来るでしょうか?
・立会・・・普段運動しないので、たまには歩き回って運動している雰囲気を味わいたいです。
・確認・・・主に確認状の発送、回収、差異分析をするのですが、紙じゃなくて全部データでやり取りできるようになったら、ちょっとは時間短縮できそうかな。
・仕訳テスト・・・これは一般的にできるって言われていますが、AIが実施した結果はどうやって評価するのでしょうか?これに引っかからない大きな不正がでる可能性はないと言えるのでしょうか? 個人的なデリバティブの損失の付け替えなどの不正の手法も100%抽出できるのでしょうか?毎期会社の環境が変化しているはずなので、パラメータの設定と試行でかなり負担が余計にかかりそうです。
・売上の実証テスト・・・どのくらいの精度でできるかに依りますが、特別に検討を要するリスク(特別な監査上の検討が必要と監査人が判断したリスク)なのに任せて大丈夫でしょうか?日本公認会計士協会のレビューや金融庁の調査で何も言われないでしょうか??
・表示チェック・・・AIというか、自動で計算書類等、有報を作成するソフトが出来たら、多少は楽になりそうです。
・内部統制のテスト・・・国内外のいろんな種類の書類から読み取って適切に評価できるまでになるでしょうか?
・子会社・支店・工場往査・・・AIさんには無理ですね。
・その他のAIを利用した手続・・・準備・評価にとても時間がかかりそうです。
結論は、いろいろ考えてみましたが、結局人間がしなければならないことがそんなに減るわけではないのかなと思います。むしろ余計に時間かかりそうです。ランキング上位に入っていたので、もっと仕事が楽になると思っていましたが、とても残念な結論になってしまいました(あくまでも私見です)。しかし、今後自分の貧相な想像をはるかに超える進歩を期待したいものです。
なお、もし読者に「あい」さんがいらっしゃっても、決してあなたのことではありませんので、お気になさらないでください。よろしくお願いいたします。
以 上