結論の背景

2017年04月10日 更新

槇田 憲一郎

平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」が適用されており、すでに検討済みである会社も多いと思います。
企業の分類において、例えば、【分類3】の要件の一つとして『過去(3年)及び当期において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している。』ことがあげられています。(適用指針第26号22項(1))。
この、『大きく増減している』という文言を形式的に捉えすぎると企業の分類の判断を誤る可能性があります。

適用指針第26号80項には以下の記載があります。
『また、(分類3)に係る分類の要件として示している「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している」については、(分類2)と同様に将来において一時差異等加減算前課税所得を安定的に獲得するだけの収益力があるか否かを判断することを意図しており、これを踏まえると、例えば、過去(3年)及び当期における課税所得の増減幅は大きいものの、全体として一定の高い水準で推移している場合、(分類2)に該当するものと考えられる。』
したがって、増減幅は大きいと判断されても、全体として一定の高い水準の課税所得で推移していれば、他の要件もあてはまることが前提ですが、【分類3】ではなく【分類2】に該当すると考えられます。

企業会計基準や企業会計基準適用指針には後半に結論の背景としてどのような趣旨あるいは経緯でその結論になったのかなどについて記載があります。先ほどの適用指針第26号80項も結論の背景として記載されている内容です。
繰延税金資産の回収可能性の判断においては課税所得の十分性を検討する必要があり、将来において一時差異等加減算前課税所得を安定的に獲得するだけの収益力があるか否かという観点から判断することが意図されているため、企業の分類の判断において、課税所得が大きく増減しているか否かということだけにとらわれず、課税所得が全体として一定の高い水準で推移しているか否かに着目して判断することが趣旨に副うものと考えられます。
企業会計基準や企業会計基準適用指針を参照する際には、結論の背景も読んでいただくと、理解が深まり、趣旨等を踏まえた上での判断ができるのではないでしょうか。

以 上