2016年10月13日 更新
土橋 宏章
平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」に基づき実施される施策として、新たな確定給付企業年金の仕組みが平成28年度に導入される予定です。これを受けてこれまで公表されている会計基準等における取扱いを踏まえて、平成28年6月2日に企業会計基準委員会から以下の実務対応報告等の公開草案が公表されました。
l 実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」(以下「実務対応報告公開草案第47号」という。)
l 企業会計基準公開草案第58号(企業会計基準第26号の改正案)「退職給付に関する会計基準(案)」
l 企業会計基準適用指針公開草案第56号(企業会計基準適用指針第1号の改正案)「退職給付制度間の移行等に関する会計処理(案)」
これらの公開草案につきましては平成28年8月2日までコメントの募集が行われました。
本公開草案の概要は以下の通りです。
範囲(実務対応報告公開草案第47号第2項)
確定給付企業年金法に基づいて実施される年金制度のうち、給付の額の算定に関して、確定給付企業年金法施行規則第25条の2に定める調整率(積立金の額、掛金額の予想額の現価、通常予測給付額の現価及び財政悪化リスク相当額に応じて定まる数値)が規約に定められる企業年金制度(以下「リスク分担型企業年金」という。)の会計処理及び開示に適用する。
会計処理(実務対応報告公開草案第47号第3項から第10項)
l 会計上の退職給付制度の分類
l 分類の再判定
退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金は、制度の導入後、新たな労使合意に基づく規約の改訂の都度、「会計上の退職給付制度の分類」の1及び2(上記参照)に従い、「会計上の退職給付制度の分類」を再判定する。当該分類の再判定にあたっては、「会計上の退職給付制度の分類」の1の「制度の導入時の規約」を「直近の規約の改訂時における改訂後の規約」と読み替える。
l 会計処理
退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額(移行時に未払金等を計上した特別掛金相当額を除く。)を、各期において費用として処理する。
l 退職給付制度間の移行に関する取扱い
退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に移行する場合、退職給付制度の終了に該当する。
この場合、次の会計処理を行う。
開示(実務対応報告公開草案第47号第11項及び第12項)
退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、次の事項を注記する。
適用時期(実務対応報告公開草案第47号第13項)
本実務対応報告は、公表日以後適用する。
以 上