平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)

2016年06月07日 更新

猪子 幸男

平成28年4月22日に企業会計基準委員会より標題の公開草案が公表された。
これは平成28年度税制改正に係る減価償却方法の改正(平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみとなる改正)に対応して会計及び監査上の取扱いを定めたものである。

 実務上の取扱いとしては従来建物附属設備及び構築物に定率法を採用している場合に、平成28年4月1日以後に取得する当該資産に係る減価償却方法を定額法に変更するときは、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われる。
 そもそも固定資産の減価償却方法は会計方針の選択の問題であるが、法人税法上の損金算入について損金経理要件が定められていること等に関して監査上も明らかに合理的でない限りは税法基準による会計処理が認められてきた。
 したがって、今回の税制改正に合わせた減価償却方法の定率法から定額法への変更を企業の自発的な会計方針の変更として取り扱うことにした場合には、企業においては変更の適時性と適切性を判断した論拠を示す必要がある。また、監査上も当該変更の適時性と適切性を判断する必要があり相当の混乱が予想されるところである。
 もともと法令等の改正が会計基準の改正に伴う会計方針の変更に該当するのは、法令等により会計処理の原則及び手続が定められている場合であり、原則として税法の改正のみにより会計処理方法が変更された場合は会計基準等の改正に伴う会計方針の変更には該当しないものである。
 しかしながら、今回の変更では建物附属設備や構築物の減価償却費については財務諸表に与える影響が金額的に限定的であると考えられること、また、税制改正に合わせて変更することは客観的な事実に基づいて行われるものであり、みだりに会計方針を変更することにはあたらず、変更の適時性に関する趣旨と矛盾しないこと、さらに、一般的には建物附属設備や構築物が建物本体に付随する固定資産と考えられ、建物に合わせて定額法に変更することは会計処理の整合性を高める可能性があると考えられるものである。
 したがって、平成28年度の税制改正に伴って変更する場合に限定して、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われこととなった。

(開示)
今回の変更を実施した場合には以下の注記が要求されている。
 ・平成28年4月1日以降に取得する建物附属設備、構築物の減価書却方法を定率法から定額法に変更している旨
 ・会計方針の変更による当期への影響額

(適用時期)
 適用時期は本報告の公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用される。ただし、本報告の公表時点で既に会計方針の変更の対象となる取引が行われていることから、平成28年4月1日以後最初に終了する事業年度が本報告の公表日前に終了している場合には当該事業年度に本報告を適用することができる。

以  上