平成28年度税制改正大綱

2016年01月13日 更新

公認会計士 永井圭介

 

平成27年12月16日、自民・公明両党により平成28年度税制改正大綱が決定されました。

 

大綱では、冒頭の「基本的考え方」の部分において、経済の好循環を確実なものにするため、法人実効税率の20%台への引下げを実現すること、社会保障の充実・強化を実現するため、平成29年4月に消費税率を10%に引き上げるとともに、低所得者への配慮として軽減税率制度を導入することなどが明記されています。

 

主な内容は以下の通りです。

 

<法人税関連>

1.法人税率の引き下げ

法人税の税率が平成28年4月1日以後開始事業年度より23.4%に引き下げられ、さらに平成30年4月1日以後開始事業年度より23.2%に引き下げられます。

これにより、事業税率の変更分を含めて法定実効税率が、平成28年度に29.97%、平成30年度に29.74%となり、20%台への引き下げが実現する見込みです。

 

2.外形標準課税の拡大

資本金が1億円を超える法人について、事業税の付加価値割・資本割の税率が27年度改正により引き上げられましたが、これが見直され、平成28年度については26年度の2.4倍となります(付加価値割:1.2%、資本割:0.5%)。

 

3.減価償却方法の改正

平成28年4月1日以後に取得される「建物と一体的に整備される建物附属設備」や、「建物同様に長期安定的に使用される構築物」の償却方法について、定率法が廃止され、定額法に一本化されます。

 

4.欠損金の繰越控除制度の見直し

大法人の欠損金の繰越控除限度額が、27年度改正で平成27年度および平成28年度に所得金額の65%、平成29年度以降は50%に引き下げられることとなりましたが、改革に伴う企業経営への影響を平準化するため、平成28年度が所得金額の60%、平成29年度が所得金額の55%への引き下げに見直されることとなりました。なお、中小法人等については、現行同様対象外となっております。

また、27年度改正においては、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間が10年に延長されましたが、これが見直され、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額から10年となります。

 

5.生産性向上設備投資促進税制の適用期限の廃止

法人実効税率の引下げに伴う財源の確保として、生産性向上設備投資促進税制(A類型・B類型)が、適用期限をもって廃止されます。具体的には、平成29年4月1日以後事業供用分より、適用がなくなります。

 

6.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例(延長)

中小企業者等の少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入の特例の適用期限が2年延長されます。

ただし、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人は対象から除かれることになります。

 

7.交際費等の損金不算入制度

交際費について、接待飲食費の額の50%損金算入が認められる規定及び中小法人については、定額控除額(年800万円)との選択適用が認められる規定の適用期限が2年延長されます(平成30年3月31日までに開始する事業年度に延長)。

 

8.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

青色申告書を提出する法人が、地域再生法の改正法の施行日から平成32年3月31日までの間に、認定地域再生計画に記載された地方創生推進寄附活用事業(仮称)に関連する寄附金を支出した場合には、一定額の税額控除が認められることになります。

具体的には、現行の損金算入に加えて、寄附金の額の合計額の20%(注1)を法人住民税より、10%を法人事業税より税額控除できるようになります(ただし、上限あり)。

(注1):平成29年3月31日までに開始する事業年度は、5%となります。

 

<個人所得税関連>

1.スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設

適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、検診・予防接種等を受けている個人を対象として、一定のスイッチOTC医薬品※の購入費用の所得控除が認められます。

具体的には、購入費用の合計額が12,000円を超える場合に、その超える部分の金額について、88,000円を限度としてその年分の総所得金額等からの控除が認められます。

なお、この制度を受ける場合には現行の医療費控除の適用を受けることができなくなります。つまり、医療費控除との選択適用となります。

※一定のスイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く)をいいます。

 

2.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋、及び当該相続開始直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を、当該相続により取得をした個人が、平成 28 年4月1日から平成 31 年 12 月 31 日までの間に、一定の要件のもと譲渡した場合には、譲渡所得より3,000 万円を特別控除することができます。

 

<消費税関連>

1.消費税の軽減税率と適格請求書等保存方式の導入

平成29年4月1日より酒類および外食サービスを除く飲食料品と、定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞について軽減税率8%が導入されます。

平成29年4月1日から平成33年3月31日は、経過措置として、簡素な方法(区分記載請求書等保存方式)が導入され、平成33年4月1日以降は、いわゆるインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されます。

2.高額資産を取得等した場合の制限措置

課税事業者(本則)の場合に、高額資産※の仕入れ等を行ったときは、その仕入等の日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、免税事業者になることや簡易課税制度の適用を受けることができなくなります。

※支払対価が1,000万円(税抜)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。

 

以上