「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」の公表について

2015年09月11日 更新

公認会計士 乙藤 貴弘

「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」の公表について
金融庁の証券取引等監視委員会は、「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」を、2015年8月28日に公表しました。

金融商品取引法における開示制度とは、有価証券の発行・流通市場において、投資者が十分に投資判断を行うことができるように、有価証券届出書をはじめとする各種開示書類の提出を有価証券の発行者等に義務付け、これらを公衆縦覧に供することにより、有価証券の発行者等の事業内容、財務内容等を正確、公平かつ迅速に開示し、もって投資者保護を図ろうとする制度です。

証券取引等監視委員会では、この制度の趣旨を踏まえ、金融商品取引法の規定に基づき開示検査を行っています。検査の結果、開示書類の重要な事項についての虚偽記載等が認められた場合には、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、課徴金納付命令勧告を行うほか、必要に応じて訂正報告書等の提出命令勧告を行っています。また、重要な事項についての虚偽記載等が認められなかった場合でも、有価証券報告書等の訂正が必要と認められた場合には、適正な開示を求める観点から自発的な訂正を促しています。

当該課徴金事例集は適正な開示に向けた市場関係者の自主的な取組を促す観点から、開示検査の傾向や開示検査で確認された不適正な会計処理等の概要を取りまとめたものです。

開示規制違反の特徴として以下のようなことが述べられています。
 代表者等の会社幹部が自ら主導するなどして不適正な会計処理が行われていたケース
 代表者が個人の借入返済等の目的で会社の資金を流出させていたケース
 代表者等が業績等を良く見せるために不適正な会計処理を主導するなどしていたケース
 海外子会社等において不適正な会計処理が行われ連結財務諸表に影響が及ぶケース
 資産の評価が適切に行われていないケース

また個別事例を20件と自発的訂正3件を取り上げ、事案の概要から不適正な会計処理等が行われた原因・背景、会社が受けた処分(課徴金)まで詳細に述べられています。

かなりボリュームがありますが、特に不適正な会計処理等が行われた原因・背景の部分は、適正なディスクロージャーの確保のために監査役・内部監査室などの企業関係者や監査人にとって非常に参考になると思われますので、一読されてみてはいかがでしょうか。

URL:http://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/kaiji/20150828/01.pdf