平成27年度法人課税の改正概要

2015年06月11日 更新

公認会計士 猪子幸男

平成27年3月31日の参議院本会議で平成27年度税制改正法案が可決、成立し同日に公布されました。今回の法人課税に関する改正内容の主な概要は以下のとおりとなっています。

○法人税率の引下げ
法人税の税率を23.9%(現行:25.5%)に引下げ、法人の27年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。また、中小法人の軽減税率の特例(所得金額のうち年800万以下の部分に対する税率:19%⇒15%)の適用期限は2年間延長されました。

○繰越欠損金の繰越控除制度の見直し
資本金1億円超(一定規模条件の子会社である中小法人を含む)の青色申告法人の繰越欠損金控除の限度額が順次引き下げられました。

・平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度の繰越控除限度額は所得金額の65%相当額(現行:80%)
・平成29年4月1日以降開始事業年度については所得金額の50%相当額

○繰越欠損金控除期限の延長
上記の繰越欠損金の控除限度額の引下げに伴い欠損金控除期限が10年(現行:9年)に延長されました。ただし、この延長は平成29年4月1日以降に開始する事業年度に生じた欠損金に適用されることから適用年度に留意する必要があります。

○受取配当金の益金不算入制度の見直し
受取配当金の益金不算入制度が以下のように見直しされました。

現行 改正後
区分 不算入割合 区分 不算入割合
完全子法人株式等(株式保有割合100%) 100% 完全子法人株式等(株式保有割合100%) 100%
関係法人株式等(株式等保有割合25%以上) 100% 関係法人株式等(株式等保有割合1/3超) 100%
100% その他の株式等 50%
上記以外の株式等 50% その他の株式等 50%
50% 非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下) 20%

・公社債投資信託以外の証券投資信託の分配額については全額が益金算入となりました。(現行:収益の分配額の1/2の金額の50%を益金算入)
・その他の株式等及び非支配目的株式等については、負債利子がある場合の負債利子控除の対象から除外されています。

○試験研究に関する税額控除制度の見直し
現行の控除税額の上限を法人税の30%とする措置を適用期限の到来をもって廃止し、新たに以下の措置により控除税額の総額を法人税の30%とすることになりました。
A:特別試験研究費の額に関する税額控除の見直し
ア) 税額控除率の(現行:12%)の引上げ
・特別試験研究機関等又は大学等との共同及び委託研究 30%
・上記以外のもの20%
イ) 控除税額の上限を試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制とは別枠で法人税の5%
ウ) 特別試験研究費の範囲の見直し
B:試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限を法人税の25%とする。
C:繰越税額控除限度超過額及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度が廃止されました。

○所得拡大促進税制の見直し
所得拡大促進税制に関する雇用者給与等支給増加割合の見直しがされました。
・中小企業者等又は中小連結親法人及び連結子法人
平成28年4月1日以降開始事業年度について3%以上(現行:5%以上)
・上記以外の法人
平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度について4%以上(現行:5%)