ふるさと納税について

2014年12月10日 更新

 

公認会計士 永井圭介

 

平成20年度税制改正によって創設された「ふるさと納税」。創設より6年余りが経過しましたが、最近になって多くの方の興味を引いているようです。

サラリーマンなどの給与所得者は、一般的に節税手段が少ないといわれていますが、ふるさと納税を上手く活用すれば確実な節税につながる場合があります。

 

1.ふるさと納税とは何か?

ふるさと納税は、自治体に寄附することにより、その場所の特産品や工芸品などがもらえるという制度です。「ふるさと」といっても、自分の生まれ故郷でなくても問題ありません。「ふるさと納税」は通称であり、税を納めるというわけではなく、所得税・住民税の計算にあたって、寄附金控除の適用を受けることができる、というものです。

もともとは、過疎化などにより税収の減少に悩まされている自治体に対する格差是正のための施策として導入されましたが、もらえる特産品などの中にはかなりお得なものがあることから、多くの方の関心を集めた経緯があります。

 

2.ふるさと納税による税額控除について

ふるさと納税により何をもらうかは個人の好みであり、どの自治体に寄附をするかはインターネットなどの情報を参照いただきたいのですが、ふるさと納税を行った場合の寄附金控除の金額は以下の通りとなります。

 

所得税⇒(自治体への寄附金額-2,000円)×所得税率

住民税⇒以下の①と②の合計

①(自治体への寄附金額-2,000円)×10%

②(自治体への寄附金額-2,000円)×(90%-0~40%(所得税率)×1.021)

※②については、個人住民税所得割の1割が限度。

 

少し複雑ですが、目安として年収500万円のケース(家族構成として配偶者と子供一人を想定)で寄附金額が21,000円~24,000円だと、2,000円を上回る部分、つまり19,000円~22,000円が全額税額控除できることとなります(最も「お得」といういい方ができるかもしれません。)

ただし、所得控除などの調整項目により増減しますので、ご自身のケースで細かく確認していただく必要があります。

 

3.ふるさと納税を行うための手続

自治体により若干異なりますが、概ね以下の通りです。

まず、各自治体のホームページにより、もらえる特産品などを考慮して寄附したい自治体を選び、申込用紙を通じて申し込みを行います。

次に、金融機関の窓口等で寄附金の納入を行います。

自治体による寄附金の入金確認後に、特産品などが送られてきます。また、「寄附金受領書」等の寄附を行ったことの証明書も自治体から送られてきます。

寄附者は、寄附金受領書を添付した確定申告書を税務署へ提出することにより、寄附金控除を受けることができます(年末調整により、寄附金控除を受けることはできません。必ず確定申告が必要となります。)

 

4.ふるさと納税の効果

もともとの趣旨は1.で述べた通りですが、ふるさと納税により、自分の生まれ故郷や愛着のある自治体に自由に寄附を行うことが促進され、納税者の意図に沿った納税につながる、ということがいえるかと考えられます。

また、大震災の際には、被災地に多くの寄附が集まり、復興に大きな貢献をしたともいわれています。

ただし、寄附者が住んでいる自治体の税収減につながる可能性があり、その点からは批判されることもあります。

 

様々な意見はありますが、ご自身の意思に基づいて、ふるさと納税を上手く活用されてはいかがでしょうか。