最近の不正事例に思うこと

2014年08月07日 更新

公認会計士 乙藤 貴弘

最近立て続けに大手企業社員による横領等のニュースが飛び込んできている。

D社元社員が同社から2億円超を着服していた。元社員は社内システムを担当していたが、取引先のシステム会社と価格交渉する立場を悪用し、複数の取引先に水増し発注させた上で還流させていた。国税局が還流させた金の入金先が元社員の個人口座であったため税務上の経費として認められないとして、5年間で約2億5千万円の所得隠しと認定して発覚した。

M社元社員は経費の支払い用に貸与されたカードの管理を担当していたが、退職者20人分のカードを解約せずに使用する手口で約3億円を詐取し、換金目的で新幹線の回数券約1億4500万円分を購入し、キャバクラや女性へのプレゼント代として約6300万円を使っていた。カード会社からの不正使用分の請求書を捨て、別の社員の経費に上乗せした偽造請求書を作成するなどして発覚を免れていたが、請求書を捨てているのに上司が気付いて不正が発覚した。

I社元社員がニュージーランドの出向先の口座から約6億2300万円を引き出して着服していた。元社員はニュージーランドにある植林会社「S社」にI社から出向し、経理責任者だった昨年8月から今年2月までに、約6億2300万円を自分の口座に勝手に移していた。口座残高証明書を偽造して発覚を免れていた。2月の監査前に自ら申し出て懲戒解雇された。

これらはニュースになるくらい金額が大きいことが特徴です。D社の件は典型的な手口ですが、発注・支払等の書類は不備のないようにしていたでしょうから、発見はなかなか難しいかもしれません。M社の件は支出の内容を確認していなかったことが原因でしょうか。I社の件は親会社から地理的に遠い子会社で発生していますが、1人が経理と財務(お金回り)を兼務していたことが原因でしょうか。
個人的にも監査の実施から同様のことが発覚したことがありますが、会社も社員もとても疲弊してしまいました。会社・社員双方を守るために、このような不正を発生させないような内部統制を確立し内部監査を充実させることは、私たちが考えている以上に価値があることなのかもしれません。