平成26年度法人税税制改正による新設制度について

2014年05月07日 更新

 

公認会計士 猪子幸男

 

平成26年度の法人税に関する改正事項は以下のようになっております。

・制度の拡充及び延長・廃止関係

ア)   所得拡大促進税制

イ)   復興特別法人税の前倒し廃止

ウ)   交際費課税

エ)   中小企業投資促進税制

オ)   研究開発税制

 

・制度の新設関係

ア)   生産性向上設備投資促進税制

イ)   既存建築物の耐震改修投資促進税制

ウ)   ベンチャー投資促進税制

エ)   事業再編促進税制

今回は上記の改正事項の中で新たに新設(創設)された項目について紹介いたしますので参考にしてください。

 


生産性向上設備投資促進税制

法人が平成26年1月20日から平成29年3月31日までに生産性向上設備等に該当するものの内一定金額以上のものを取得し、事業の用に供した場合には

特別償却または税額控除(法人税額の20%を限度)の選択適用が認められる。

・生産等設備とは、その法人の事業の用に直接供される減価償却資産で構成されたものをいうのであって、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は該当しない。

・生産性向上設備とは、先端設備及び生産ラインやオペレーションの改善に資する設備として産業競争力強化法に規定するものをいう。

・先端設備とは、先端性に係る設備要件(最新モデルかつ旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上すること)を満たす機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、ソフトウエアが該当する。

・生産ラインやオペレーションの改善に資する設備とは、生産性の向上に係る要件を満たすことについて経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された

機械装置等が該当する。

 


既存建築物の耐震改修投資促進税制

法人が有する耐震改修建築物について、平成27年3月31日までに耐震診断

結果の報告を行ったものが、平成26年4月1日からその報告を行った日以後5

年を経過する日までに耐震改修により取得等をする建築物について等別償却

(25%)ができる。

・耐震改修建築物とは、建築物の耐震改修の促進に関する法律の既存耐震不適格建築物の内耐震診断結果の報告が義務付けられているものをいう。

・耐震改修とは、地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改装、修繕、模様替であって耐震基準に適合することとなるとして地方公共団体等による証明がされたものをいう。

 


ベンチャー投資促進税制

法人が平成26年1月20日から平成29年3月31日までに産業競争力強化法

に基づき計画の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業等へ

出資した場合には、その出資に係る損失に備える準備金について損金算入(ベ

ンチャー企業等への出資金の80%上限)ができる。

・ベンチャーファンドとは、特定新事業開拓投資事業計画について認定を受けた投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結しているものをいう。

・この準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度に積立金額の全額を取り崩して益金算入することになる。

 


事業再編促進税制

法人が平成26年1月20日から平成29年3月31日までに産業競争力強化法

に基づく計画の認定を受けて複数企業間で経営資源の融合による事業再編を行

う場合には、その事業再編による特定会社に対する積立期間内の出資金、貸付

金の損失に備える準備金について損金算入(出資金、貸付金の70%上限)がで

きる。

・積立期間とは、特定事業再編計画について認定を受けた日から10年を経過または特定会社の3期連続営業黒字達成年のいずれか早い年の終了の日までの期間をいう。

・この準備金は、その積立期間終了の日を含む事業年度の翌事業年度から5年間で均等額を取り崩して益金算入する。